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「みんな平等」は良いか悪いか。【平等ゲーム】桂望実

 

平等ゲーム (幻冬舎文庫)

平等ゲーム (幻冬舎文庫)

 

 世界は不公平で満ちている。

日本のみならず、それは世界規模で共通の事実です。

誰かが富む一方で誰かが飢え、無能な誰かがコネで輝ける一方で有能な誰かは土俵に上がることもできない。

 

瀬戸内海に点在する小さな島のひとつに「鷹の島」という島があります。ここは「すべて平等な島」です。良かったらあなた、移住しませんか。

 

って話です。

 

「全員平等」を理念とする島。特権階級はありません。

島の住民は4年に一回、抽選で仕事が決まります。

島での買い物は、お金がかかりません。そもそも貨幣が流通していません。

住むのに家賃・光熱費などはかかりません。

医療費も教育費もかかりません。学校には成績を付けるシステムはありません。

自転車などは私物ではなく島のもの。みんなで貸し借りして使います。

島の収入はすべて公平に分配されます。

決めごとを作るときは、島民全員の多数決で決まります。

 

主人公は、この島で生まれ育った青年。現在の仕事は、普及班勧誘係。

島は1,600人という一定の人数を維持しています。死亡または脱島等の理由で欠員が出たときに、島外の移住希望者の中から抽選で候補者を選び、本人に接触して移住の勧誘をします。それが彼の仕事です。

 

外の世界をほとんど知らない主人公は、この島こそがパラダイスと信じて疑っていません。移住希望者に島の素晴らしさを語ります。

 

ある日、島にとっての「不正(=平等じゃないこと)」をしている島民がいることを知ってしまった主人公は、違う方向・違う視点から島を見つめ直してみて、自分の考えがだんだん変わっていくのを感じます。――――

 

***

 

世界に平等なんてない。現実そうです。どう頑張ったって足掻いたって、百年後だって千年後だって、世界は平等になんかなっていないはずです。

だからこそ、この小説の設定に惹かれるし、その一方で無理があると思ってしまいます。実際、突っ込みどころの多いこと。

 

4年に1回くじ引きで仕事が決まるって、医師や教師はどうなるの?

仕事が変わるたび、どうしても前任者との比較はされそうです。適材適所みたいなのも無視なのかな。

学校の成績は付けなくても、体感で分かるものです。あの子よりできる、できない。

どれもこれもが「みんなのもの」なら、自分の好みとか反映させられない。こだわりのアイテムとか持てないのか。

 

決して無職にはならないし、食いっぱぐれることもない代わりに、ハリはなさそうな人生です。

 

平等と不公平、どちらがいいのか。

永遠のテーマかもしれない。