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不安よりも好奇心が勝るこの感覚に覚えがある【100時間の夜】アンナ・ウォルツ

 

100時間の夜 (文学の森)

100時間の夜 (文学の森)

 

 児童書というかヤングアダルトに入りますね。分厚くて読み応えどどーんな1冊。

少年少女たちの成長の物語です。

 

エミリア14歳。父親が起こしたスキャンダルでネットは炎上。批判、誹謗中傷、脅迫の嵐が吹き荒れることとなりました。学校でいじめにも遭ってしまったり。

傷つき、疲れ、少し苛立ち、エミリアは誰にも告げずにひとりで家を出ます。

 

向かった先はニューヨーク。アテもツテもなく彷徨っていたところに出逢った、自分と歳の近い兄妹の家に居候させてもらえることになりました。

そうしているうちにハリケーンがニューヨークを来襲、都市は大停電に見舞われます。

利便の効かない数日間を、エミリアたちは「冒険」と称し、協力し合って乗り超えようとします。

 

***

 

中学生くらいまで、台風が来るとなるとワクワクしていました。不謹慎ですが、不安や恐怖よりもワクワクのほうが上でした。たぶん大部分の大人たちは同じような感覚に身に覚えがあるのではないかしら。

思春期独特の感覚といいますか、なんかこう、非日常な事態に憧れを抱くというか。

(それを●二病と言うのだよ……げふげふ)

 

大人になったら、多少の台風くらいで心が動かされることなどなくなりましたが、この本のエミリアたちを見ていると、「ああ分かる、その気持ち……!(ちょっとイタイけど!)と共感できます。

 

自分ひとりで生きていけるという、どこから来るのか分からないおかしな自信。身近な大人たちへの不信感や反抗心。でもずっと顔を見ないと、声を聴かないと、恋しく思ってしまう、なんか相反するこの気持ち。思春期ですよねぇ……。

そういうのも全部身に覚えがあってむずがゆい。

 

テレビも音楽もゲームもない真っ暗な夜に彼らにできることは、話すことだけ。

話して、話して、本当にいろいろなことを話します。

停電が解除されたあとの、彼らがどう成長したか。

見届けてほしいところです。