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灰色の空の日、少女は手を差し伸べ始めた 【白バラはどこに】クリストフ・ガラーツ

 

白バラはどこに (詩人が贈る絵本)

白バラはどこに (詩人が贈る絵本)

  • 作者: クリストフガラーツ,ロベルトイーノセンティ,Christophe Gallaz,Robert Innocenti,長田弘
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2000/09/09
  • メディア: 単行本
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 日本の裏側の戦争のお話が続きますが。

(フィクションです。絵本です。)

 

「白バラ」という名の少女が住む町にも、戦争は容赦なくやって来ました。

 

ある日、逃げようとする少年が捕らえられ、トラックに乗せられて走り去っていくのを見た白バラは、こっそりと後を付けます。

町を外れ、広い野に出て、森の中へ。拓かれたところに見えたのは、鉄条網。その向こう側には、大きな木造の建物、そして痩せた子どもたち。

空は灰色で寒く、冬が始まろうとしていました。

 

白バラは、カバンの中に食べ物を隠して、子どもたちのもとへ向かいます。

凍てつく雪の中を、毎日向かいます。

自分の家の中にある食べ物を、できうるかぎり届けます。

 

そうして、もう少しで春を迎えるというころ。

白バラは姿を消しました。

――――

 

***

 

第二次世界大戦中のドイツが舞台になっていますが、この本には、ナチスとかユダヤ人とか、強制収容所などのことばがひとつも出てきません。でも、容易に状況を想像できます。

それから、台詞も出てきません。

白バラと子どもたちの間でどんなことばが毎日交わされていたのか。

白バラと母親はどんな会話をしたのか。

そういった場面の描写は何もないまま、ただ静かに話は進みます。

 

「白バラ」という名前は、当時ナチスに抵抗したドイツ人の大学生グループのことを隠喩していると思われます。

 

帰ってこない白バラを待ち続ける母親。

ラストはひたすら静かで、哀しみに溢れています。