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私は捨てられた。「生きる」ために。【エリカ 奇跡のいのち】ルース・バンダー ジー

 

エリカ 奇跡のいのち

エリカ 奇跡のいのち

  • 作者: ルース・バンダージー,ロベルトインノチェンティ,Ruth Vander Zee,Roberto Innocenti,柳田邦男
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/07/14
  • メディア: 単行本
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 写真かと見まがうほどの精緻なイラストに驚きを隠せない。

第二次世界大戦時、ユダヤ人の大量虐殺のときに奇跡的に生き延びた、エリカという女性。彼女の、自分語り形式で書かれています。

絵本~児童書の中間くらい?に位置する本なので、短いし、絵は大きいし、読みやすいです。

 

ナチスによる絶滅収容所へ向かう貨物車に乗せられたユダヤ人の夫婦。母親の腕には、赤ん坊がいました。

夫婦は、自分たちの身にこれから起こることを、薄々理解していました。おそらく生きて帰れないであろうことも、感じていたかもしれません。何もできない赤ん坊がどうなるかなど、容易に想像が付いたかもしれません。そこから逃れることは出来ないのだと、覚悟したのかもしれません。

 

夫婦は相談し、赤ん坊を毛布でぐるぐる巻きにします。そして、貨物車がカーブに差し掛かりスピードを緩めたそのときに、列車の上方にある換気用の小さな窓から、線路の向こう側へ向かって力いっぱいに赤ん坊を放り投げました。

 

”……お母さまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかって投げたのです。”

 

投げ捨てられた赤ん坊は線路わきの草むらに落ちました。

通りかかった地元の人に拾われ、そこで「エリカ」と名付けられ、育てられました。

このエリカが、まさしくこの本の語り手です。

 

100%の「死」と1%あるか分からない「生」を天秤にかけて。

母親の、身を引き裂くような悲しみと、並々ならぬ愛を感じます。

 

短いお話。本は薄くて軽いのに、ずっしりと重く、涙が止まりませんでした。