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読後が苦しい 【縞模様のパジャマの少年】ジョン・ボイン

 

縞模様のパジャマの少年

縞模様のパジャマの少年

 

 戦争のことを考える機会の多い時期ですね。

日本で起こった出来事ももちろん無視はできませんが、今回は日本の裏側で起こっていたことのお話をご紹介。児童書ですが、侮れませぬ。

(※フィクションです)

(※ネタバレ注意)

 

ブルーノ少年、9歳。軍人の父親の異動に伴い、ベルリンからポーランドへ引っ越してきました。

住み慣れた街、仲良しの友達と離れて新しい土地にやってきましたが、家はベルリンの時より小さいし、周りには何もない。家の近くにフェンスがあり、その向こう側には縞模様の服を着た人たちが見えるだけです。

新しい友達ができる気配もなく、毎日をすっかり退屈に過ごしていました。

 

ある日退屈を持て余したブルーノは、このフェンスがどこから始まっているのか、探検に出かけることにします。フェンス沿いにしばらく歩いていたら、薄汚れた縞模様のパジャマを着た、ブルーノと同じくらいの少年がぽつりとしゃがみ込んでいるのを見つけました。

友達ができず、ゆえに遊び相手もいなくて退屈していたブルーノは、大喜びで少年に話しかけてみます。

 

少年はシュムエルといいました。

話すうちに、ふたりは歳も誕生日も同じということが分かります。僕たち双子みたいだ!

よく見れば、なんとなく顔も似ている気がします(ブルーノはふくよかで、シュムエルはげっそりと痩せていますが)。ますます双子のようで、嬉しくなる二人。あっという間に親友になります。

 

一緒に遊びたいから、出ておいでよとブルーノは誘いますが、シュムエルは出られないんだと悲しそうに言います。それなら仕方ない。ブルーノとシュムエルは、フェンスを挟んで毎日いろんなお喋りをします。

 

ある日ブルーノがいつものようにシュムエルに会いに行くと、シュムエルは目に涙をためてオロオロしています。どうしたの?おとうさんがいなくなった。それは大変だ、一緒に探してあげるよ。本当に?でもどうやって?

ブルーノは辺りを見てまわり、フェンスの下の土がやや抉れている部分を見つけます。

ここを、もうちょっと掘れば、フェンスをくぐってそっちに行けるよ。

 

シュムエルは喜びますが、はたとあることに気づきます。待って、その恰好じゃだめだよ。こっちに来るなら、僕と同じ服でないと。予備を探してくるよ。

 

そんなわけで、ブルーノは服を脱ぎ、フェンスをくぐって、シュムエルが見つけてきた縞模様のパジャマを着ました。そうすると、ますます二人は双子のようです。一気にテンションが上がる二人。さあ、きみのお父さんを探しに行こう。

 

けれど、どこを探してもシュムエルの父親は見つかりません。そうこうしているうちに、雨が降り始めました。身体も冷えて、帰りたくなってきたとき、二人は「行進」に巻き込まれ、列に加わることになります。わけもわからず周りの大人たちに合わせて「行進」して行くうち、屋根のあるところへ入ります。ああ、良かった。部屋が閉ざされ、天井を見上げると、シャワーの噴き出し口が見えました。そっか、これからシャワーで冷えた身体をあっためてくれるんだな。

 

少し不安そうなシュムエルに、ブルーノは笑いかけます。大丈夫だよ。心配ないよ。

ふたりは互いの手をぎゅっと握って ――――

 

***

 

無垢な少年たちの視線でストーリーが進むので、難しいことは出てこないのが逆に静かに怖ろしい。

 

ご存じの方も多いかと思いますが、これ、同じタイトルで映画にもなっています。

そちらでは、小説にはなかった、ブルーノの父親の様子がラストに出てきます。

自分の気分一つで、囚人を「好きなだけ」殺していた男が、突然姿を消した息子を探して、フェンスの外側に息子の脱いだ服を見つけるシーン。そこから何があったのかを想像し、辿り着いた結末に発狂するところで映画は終わります。

 

それを観て、どういう感情を持ったらいいのか。かなり悩みます。

正直私は、ざまみろ!と思いました。でもその直後に、そう思った自分をすごく嫌な人間だとも思いました。

 

たしか「二度と観たくない傑作」とか言われてるんだっけ、この映画。そう言われるのも頷けます。

 

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