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こんなにも静かで騒がしい、愛すべき相棒 【今日も一日きみを見てた】角田光代

今日も一日きみを見てた (角川文庫)

今日も一日きみを見てた (角川文庫)

 

 猫繋がりで、今日も猫。

 

小説家・角田光代さんのお家で飼っているアメリカン・ショートヘアの「トト」。

生まれて3か月で角田家へやってきたトトを眺めては笑い、驚き、涙ぐみ、感心する。

トトとともに送る日々が丁寧に綴られている猫エッセイです。

 

と言っても、よくある「うちの子いちばん自慢」ではありません。

どちらかといえば「トト観察エッセイ」みたいな感じでしょうか。

 

持論ですが、あれ(=うちの子いちばん自慢)は、需要があるようで実はない。なぜなら、ペットを飼っている人はもれなく全員が「うちの子いちばん(可愛い)」と思っているからです。

他の人が「うちの子可愛いやろ!どや!」してたら共感はします。けれど脳内では、「あら~そうだね可愛いね(うちのはもっと可愛いけど)ってカッコ内のことを絶対付け加えてます。間違いない。

 

閑話休題。

 

 それまでは犬派だった角田さん。猫も嫌いではないが、いつかペットを飼うとしたら犬であろうと漠然と思っていたようです。

ところが、縁あってアメショーの子どもをもらえることに。猫というものはどういう生物か。未知のまま、子猫を引き取りに行きます。

 

***

 

” 夜道をバス停に向けて歩きながら、トトちゃん、と呼んでみる。ちいさな猫は大きすぎるキャリーバッグのなかでちんまりとうずくまり、鳴かない。トトちゃん。トトちゃん。交互に呼びながらバスに乗った。バスが揺れたとき、一言だけ、ニャア、と鳴いたが、あとはずーっと黙っている。……なんて静かな猫なんだろうと、どぎまぎしながら私はその姿に見入る。 ”

 

” 膝にのせると、体を丸めて、ちいさなちいさな頭を私の手の甲にぽとりと落とし、眠るではないか。今までゆきずりの猫しかさわったことのない私は、感動のあまり泣きそうになった。なんてかわいいのだ。ああ、なんて、なんて、なんて。 ”

 

” トトがきていちばん驚いたのは、足音がまったくしないこと。そんなことも知らなかった。台所で作業をしていて、ふり返るとちいこいのが座っている。……猫とはこんなにもの音をさせずに歩くのか。 ”

 

” それから猫が遊ぶことにも驚いた。”

 

” そして猫の運動神経のなさにも驚かざるを得なかった。トトはボールを追いかけて走り、そのまま壁にどーんと顔から突っ込むのである。……猫はもっと俊敏な生きものだとばかり思っていた。 ”

 

***

 

読みながらいつの間にか顔が緩んでいることに気づく私……(笑)

猫を初めて飼った人が書いた、「猫とはこういう生きものだった」というエッセイなので、猫を飼ったことがない方は、この本で「ねこ」のイメージを掴みやすいかと思います。とても柔らかい文章で、読みやすい。おすすめです。

すでに猫を飼っている方は、もう言わずもがな。ニヤニヤするだけです。