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淡々と紡がれる情愛とコメディ 【おひさまジャム果風堂】髙森美由紀

 

おひさまジャム果風堂

おひさまジャム果風堂

  • 作者: ?森美由紀,深町なか
  • 出版社/メーカー: 産業編集センター
  • 発売日: 2015/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 出版社がマイナーすぎて(当社比)、完全にノーマークだった(ごめんなさい)

 

読んだのは3年前。

乱読派ではありますがミステリにやや偏りがちなので、手を伸ばす頻度としては少ない方ですが、これは読んで良かったアットホーム系。

 

拓真という27歳の独身男子が主人公です。

両親を亡くした家に独り住んでいた拓真は、音信不通だった妹・サトミが亡くなったと連絡をもらい、遺体を引き取りに病院へ行きます。

 

そこで初めて会った妹の子ども・昌(あきら)。

妹に子どもが生まれていたことも知らなかった拓真は動揺します。

無口で無表情な昌の、施設には入りたくないという気持ちを汲み取り、拓真は引き取ることにします。

 

行き当たりばったりの同居生活。

無口・無表情・無関心の昌でしたが根は素直だったようで、拓真との生活に慣れていくうち、少しずつ変わり始めます。

 

二人を繋いだ意外なアイテムは、拓真の妹であり昌の母親であったサトミがよく作っていたという、ジャムでした――――。

 

***

 

脳内で映像化される登場人物たち(というか主人公)が、ほぼほぼ真顔なのが面白い。

妹に子どもがいたと知ってもそう驚かず(いや驚いたんだけど)、慌てず、焦らず。

声を荒げず、困りもせず、初対面の子どもを自分の人生の中に入れていきます。

 

一方の昌も、放蕩なカーチャン()に似ず(?)出来た子です。

台所に立ち、拓真を手伝い、ボロい自転車を宛がわれても文句を言わず。

 

こんな二人が作り上げる生活の、いちいち何と面白いことか。

文章が上手いというのか、表現が秀逸というのか、この作家さん、デビュー作だというのに侮れない。

雰囲気は、三浦しをんさんあたりと似ているかもしれません。三浦女史がお好きな方だったら、これ気に入っていただけるかも。

 

どったばたのコメディではないのに、なぜか読んでいる間ずっと顔が緩んでいます。

でもって、少しだけホロッとくるところもあり。

おススメです!

 

そして

 

昌がおねしょをした朝の、拓真のフォローは一見の価値あり。

 

思わずスゲーって言っちゃうよねこれは。