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きれいになりたかった、ただただそれだけ 【モンスター】百田尚樹

 

  

モンスター (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)

 

「モンスター」=「化け物」

は、どこにかかっているのだろう。

 

整形手術を繰り返す、美への執着か。

手術をするためなら身体を売ることを厭わない、金への執着か。

「ブスを嘲笑う者」に対する、燃えるような憎悪か。

 

おそらく、そのどれも。

 

世間で稀に見るほどの醜い容姿の主人公。周囲からバケモノ扱いされて日々を過ごしてきた。

無知からの過ちから事件を起こしてしまった主人公は住んでいた町を追われることとなり、別の町で、やはり笑い者になりながら、独りでひっそりと生きる。

 

目に付いたのは本当にたまたまだった。整形手術の広告。主人公は二重瞼の手術を受ける。印象がガラリと変わったことに自分で驚いた。何度も何度も、鏡を見た。嬉しかった。そこからだった。

 

目元と口元が変わっただけで、自分に対する周囲の反応が変わった。

女は羨望と軽蔑と対抗心とでこちらを見た。

男は明らかに優しくなった。

 

その反応を静かに観察しながら、主人公はひたすら整形を続ける。費用を稼ぐために身体を売った。きれいになれるためなら、どれだけ身体を弄ばれても構わなかった。

 

かくして絶世の美女になった主人公。やり遂げた彼女の胸に蘇ってきたのは、かつて悲惨に潰された、恋心だった――――

 

***

 

「あなたは、他の人と違いますね」

 

整形外科医が主人公に言った言葉が、ずっと残っています。

整形したいと来院する女性たちは、異性にモテたい、意中の相手の好みの容姿になりたいという思いを持っている人が多い。

 

けれど、あなたは違う。

ただただ、きれいになりたかったんですね。

 

「がんばりましたね」のひとことに主人公は泣き出すのですが、その気持ちがとてもよく分かる私がここにいるわけで。

 

お世辞にも「美」とは無縁の私です。

この世はままならぬもので、人は外見じゃない!という言葉は神話くらいにしか思っていません。

その台詞を言う人って、だいたい美男美女やし(遠い目)

 

親からもらった身体を傷つけるなんて!とか、そんな罪悪感露ほどもありません。

先立つものさえあれば、私も躊躇いなくやってると思います。

でもその動機は、モテたいからじゃない。好きな人を振り向かせたいとかも思ってない(そもそも自分の限界を知っているので恋などしていない)。

 

きれいになれたらなあ、と思うだけ。

 

主人公と私とで決定的に違うのは、彼女は費用を捻出するために身体を売ることも厭わなかった。私はそれができない。

覚悟の問題。

 

読んでて個人的にグサグサくる1冊でした。