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絶望の先の小さな光、それを見たかった気もするけれど 【世界が赫に染まる日に】櫛木理宇

 

世界が赫(あか)に染まる日に

世界が赫(あか)に染まる日に

 

 ヤドカリ女でおなじみの櫛木理宇さんです。(違)

300ページ超えの長編ですが、先が気になってすらすら読めます。

 

まずはじめに書いておこう。ぼくの左目は、邪眼だ。

ギリシャ神話のメデューサのように、ぼくに見つめられたやつは石になる。

 

 

なんだただの中二の病か

 

と思ってはいけない。

 

ストーリーは、胸が苦しくなるばっかりの哀しい復讐劇です。

復讐劇?と言っていいのかな。

自分と目が合った相手が「石になる」というのは、イメージとして、のことですね。

 

あらすじ:

緒方櫂(かい)と高橋文稀(ふみき)は中学3年生。同じクラスだが、全く接点のなかった2人が、ある夜公園で出会う。

何をしているのかと問う櫂に、文稀は自殺の下見だと答える。15歳になったら死ぬ予定なのだと言う彼に、櫂は思わず言っていた。「じゃあおまえ、死ぬまでの間、俺を手伝えよ」。

 

櫂には祥太という従兄弟が居る。

祥太はいじめによる暴力が原因で自殺を図り、一命は取り留めたが植物状態になってしまった。祥太の妹も被害に遭い、引きこもりになってしまっている。

 

加害者は祥太と妹に一生消えない傷を残した。けれども、未成年であるという理由で彼らは罪に問われない。

少年法に守られた彼らに、抑えることのできない怒りを抱く櫂。

だったら、自分が裁いてやる。櫂はその決心を文稀に伝え、相棒としてともに復讐を決行することにする。

 

でも、いきなりは無理でしょう。

練習が必要だよね?

 

文稀の提案に櫂は同意し、似たような「未成年者の犯罪」にターゲットを絞り、復讐という名の「狩り」を始める。

それはだんだんとエスカレートしていって――――

 

***

 

ただの陰惨なリンチの話かと思ったら大間違い。

文稀の過去はとても辛いものだし、櫂だって祥太のことがなければ普通に心根の優しい男子だった。

読んでいくうちにそれがひしひしと感じられて、辛い。

 

ラストは、読み手によってハッピーエンドかバッドエンドか分かれるところだろうけれど、私は「バッドエンドだけど、希望がある」と思えました。

 

最後の数行で小さく光が見えた気がします。その先!その先が気になるんだけど!ってとこで話は終わってしまいますが、こういう終わり方もアリですね、うん。

 

読み終わった後、自分の眉毛が下がってることに気づいた読者は私だけではないはずだ……

 

oyasuminminzemi.hateblo.jp