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「ミニマリストの本じゃない本」にミニマリストがいたときの嬉しさww 【長い腕】川崎草志

 

長い腕 (角川文庫)

長い腕 (角川文庫)

 

 

病的なミニマリストではないですが、常に身軽にはしておきたくて、しょっちゅう断捨離っぽいことをしています。

そんな私が見つけた珠玉のミニマリスト(言い過ぎ)。

 

発行が2001年。

私が初めて読んだのが2008年くらいだった気がしますが、そのころもそんなに断捨離断捨離叫ばれていなかったような気がします。

ミニマリストとか断捨離とかいう言葉が流行る前に、ここにこんな徹底したミニマリストが隠れていたとは。しかも(?)女性。

 

本筋はミステリです。和製ミステリとでも言えばいいのかちょっと不思議な、「家」にまつわるミステリです。

主人公はゲーム制作会社に勤める女性。退職が決まっていて、残りの日数をカウントダウンして過ごしているところに、同僚の無理心中現場に出くわします。同僚は不幸だったけれど、その死に方がなんかおかしい。小さな不審点を辿って行くと……という感じ。

 

しかしミステリそっちのけで完全に私の心を奪ったのは、この女性の引っ越しシーン。

この女性、名前を汐路(しおじ)といいます。同僚の死に納得いかない点があって、それを調べるため、退職後の予定を一時変更、とりあえず実家に帰ることにします。

そこで引越しの準備を始めるんですけど、これがすごい。

 

……

 汐路は、アパートの自分の部屋を眺めた。

 洗濯機や冷蔵庫は、一人暮らしを始めてから一度も買ったことがない。エアコンやカーテンは、部屋に備え付けられた物をそのまま使っている。炊飯器、トースター、オーディオセット、液晶テレビは、殆ど最小のサイズの物を選んでいた。

 衣装を詰め込むと小さめの段ボール二個に収まった。あとは一人分の食器、小さな鍋とフライパン、簡単な化粧品とドライヤーとかの小物が段ボール箱に二つ。とても捨てることができなかった三十冊ほどの書籍が段ボール箱に一つ。残りは明日も使う折りたたみ式のキャンプ用コット、寝袋、洗面用品、着替えだけになった。全部の荷物が汐路の車に載りそうだった。

 汐路の軽のスポーツカーは二人乗りだが、助手席のシートは車を購入したときに外して捨ててしまった。このアパートに引っ越してきた時、汐路は、そのスペースに引っ越し荷物を積んで一回で搬入した。軽とはいえ、スポーツカーに段ボールは似合わなかったが、自分の車だけで引越しが出来て汐路は満足だった。今回も一回の搬出ですませるつもりだった。

……

 

使った段ボール箱は5個だけ……だと……(キュン)

 

もちろんミニマリストが市民権を得る前から、普段から荷物を少なくして暮らしている人はたくさんいたわけで、だから小説の登場人物がミニマリストでも全然おかしくはないわけなんだけども、なんか、なんか嬉しい。

 

私はここまで徹底的には出来ないヘタレミニマリストなので、この潔さがすごく格好良く見えて、当時はこの部分を何度も何度も読み返したものでした、っていうか今も好きです。

 

この「軽のスポーツカー」ってのが、スズキのカプチーノのことなんですが、実は私、昔これに乗っていました。だからこの車の小ささがよく分かる。これに載るだけの荷物って、ちょっとすごすぎないか。てゆーか助手席捨てたんかーい。ならちょっとはスペースあるかな(そういう問題ではない)

 

でも冷蔵庫を持たないって、つまり生活の全部をコンビニやらスーパーに頼るわけで、それってすごく不経済なので、金銭面で不自由してない限りはなかなか踏み切れない問題よねぇなんてことをフィクション小説相手に現実問題に耽ってみたりする金曜の夜。

 

汐路さんの徹底したミニマリストぶりに完全に気を取られて、大事なミステリ部分はどうだったかは覚えてないっていうね。すみませ……